UXエンジニアになりたい人のブログ

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Windows8が失敗したたった一つの理由

いや失敗したかはわかんないんですが。Windows8、使いにくいです。デスクトップでマウスで使ってるんですが、わけわかんないです。

いろいろ考えてみると結局理由はひとつしかないと思うのでそれを書いてみようと思います。

 

GUI

その昔、コンピュータ上の様々な要素をグラフィカルに表現する、GUIのアイデアが発案された。

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これに伴ってスクリーン上のグラフィックを選択するためにマウスが生まれ、あわせてボタンやテキストボックスやラジオボタンといったフォーム部品や、メニューバー、スクロールバーといった基本的なUI要素が整備された。

マウスの基本操作体系はGUIとともにほぼ確立している。興味の対象をポイントし、ダブルクリックすることで処理を実行する。選択状態にしてメニューバーをみるか、右クリックすることで処理を実行せずにどんな処理が実現できるのか、調べることができる。

このシンプルで強力な操作体系のおかげで、我々は初めて使うアプリケーションでもある程度迷わず操作することができるようになった。

 

Web

次に、Webが生まれた。Webには右クリックもダブルクリックもメニューバーもなかったが、誰も困りはしなかった。

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古きよきWebはページをリンクでつなぎあわせただけのものであり、「青い文字で下線がついていてポイントすると指の形になるものが、別にページに遷移するためのリンク」という単純な決まりしかなかったためである。

 

Web技術と環境の変化により、Webにアプリケーションとしての側面が求められるようになり、UI体系は複雑化した。複雑化、煩雑化するUI部品を整理して見せるために、レイアウト上の工夫とともにマウスオーバーに対する表現が多様化した。

ツールチップ、ポップアップヘルプ、マウスをポイントするとメニューが現れる部品、フラットに見えるがマウスオーバーでボタンっぽく変化して「実行可能」であることがわかるボタン、etcetc...

 

このように、UI部品や表現にはさまざまな工夫がなされたが、マウスによる操作体系の本質的な部分はほとんど変わっていない。

それは「ユーザーは画面上の興味の対象をポイントするはずなので、そのタイミングでその対象になにが実行できるかを示唆させ、間違い/意図しない操作を減らす」というものである。

 

タッチUI

そして"革新的な"タッチUIが生まれた。

スワイプ、ピンチなどのジェスチャーがもてはやされているが、冷静に考えるとタッチUIはマウスのもつ機能をすべて持っているわけではない。「タッチ」がマウスでいうところの「ポイントした瞬間にクリックする」に相当するにすぎない。マウスにあった、ポイントして対象を調べるに相当する機能が全くない。興味を示す=実行するであり、興味があるものを実行せずに調べることができない。唯一、長押しは右クリックに近い性質を持っているはずであるが、あまり右クリック的な意味での普及はしていないようである。

このような背景のもと、タッチUIではすべての部品に対し、その形や表現形態だけでなにが起こるのかユーザーにわからせる必要が生じ、レイアウトやボタンの形などが「ガイド」という形で提言されることとなった。

 

スワイプ、ピンチ、その他ジェスチャーは革新的であるが、操作体系が確立されていない。重要な問題として「どこでそれが使えるか」のUI表現が確立していないことがある。スワイプについてはスワイプインジケータが普及してきているが、それ以外は未整備である。つまり「グラフィックだけみてもそれに対してどんなジェスチャーができるかわからない」状況に解が与えられていない。

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iPhoneではかなり有名なアプリケーションであっても「XXXをスワイプするとメニューがでる」とか、「長押しするとなにかができる」とかという話が「裏ワザ」のように伝えられる。これはジェスチャー操作表現が未整備なことの表れで、ジェスチャーによる操作に頼ると、このような「できるはずのことに気づかない」ことが起こりえてしまうのである。

このようなわけで、タッチUIにおいて、確実で間違いのない操作を実現させたいのであれば、ジェスチャーではなくタッチに頼らざるを得ないというのが現状であり、かなり発展途上であるといえる。

 

 Windows8

このような状況でWindows8はマウス&キーボードでもタッチでも使えるOSとして登場した。

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このOSの最も重要で、スタート画面への動線にもなるUIにチャームがある。チャームは画面右端をスワイプすると現れる。大事なことなのでもう一度いう。スワイプすると現れる。

マウスでもタッチでも使えるOSの基本的な動作にタッチにしかない操作を割り当てたのである。もちろん、マウスでも同様の操作はできる。「カーソルを右上に持っていく」というスワイプとなんの関わりがあるかわからない操作によって。

万事こんな感じである。modernUIはタッチ中心で考えられており、タッチの操作をマスターしたからといってマウスで操作できるとは限らない。デスクトップは旧来のマウス中心で考えられているが、スタートメニューを出すにはmodernUIを経由しなければならない。

マウスとタッチを統合するならマウスとタッチ両方でできる操作を基点に設計すべきなのにそれをせず、かといって完全に分離させるわけでもない。

つまり、マウスとタッチの違いすら考慮せず、中途半端に操作体系を統合させたことがWindows8が使いにくいことの本質かと思うが、どうでしょう?