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カモに敬意を払うべしという話。あるいは単なる楽天批判

楽天 ネット通販王国の異変―週刊東洋経済eビジネス新書No.61

カモに敬意を払う、っていうのが商売の基本だと思うのですよ。

 

カモ。一言で言うなら適正利益以上の利幅を呼び込んでくれる優良顧客ってとこですか。

カモは重視する価値観が人と違う(つまりお金をかける対象が人と違う)ことによって生まれることが多いので、大事なのはその価値観を肯定し、尊重して、敬意を払って、気分良く"余分なお金"を払ってもらうことにあると思うのです。

そうすることで、顧客はどんどん気分が良くなって、その気分の源を提供してる商売人には信用と信頼が重なっていって、徐々にそれがブランドと呼ばれることになる。たとえカモられていても、利用者自らがそれを受け入れ満足するという、不思議な状態に落ち着いて、長期的に安定的な利益を得ることができる。

こういうのが商売の理想で、その根源はカモに敬意を払うことにあるのだと思うのです。

 

そして逆に、(たとえそれが本当のことだったとしても)カモをバカにしたり、カモの価値観を否定したりすることは一番やっちゃいけないことだと思うのです。*1

 

楽天の話

みなさまよくご存知だと思いますが、楽天で買い物をするときに、絶対に気をつけなければならないことが1つあります。最後の最後、「注文を確定」ボタンを押す前に、一番下までスクロールさせてメールマガジン購読のチェックを外すこと、です。

これをしないと次の日からひどいデザインのメールマガジンが2つも3つも届くようになります。

 

どこで見た話か忘れましたが、三木谷社長がインタビューに応えていた記事があって、このメルマガの件は完全に"わざとやってる"とのことでした。注文確認の最後に上部の見やすいところに注文確認ボタンが出て、スクロールしないと見えないところにメルマガのチェックがあって、多くの人がチェックに気づかずにメアド登録をしてしまうところまで含めて、完全に計算ずくだとのことです*2

「自身最大の発明」とか誇らしげに語ったとかいう話もあったような。その記事ではそれによって何%がリピーターになって、それで会社の利益が何%上がるんだみたいな理屈を嬉々として語ってたのを記憶しています。

 

この一件が楽天という企業体の全てを体現していると言っても過言ではないと思います。つまり、楽天というのは

  • 自社の利益のためなら人々や社会にゴミを撒き散らしても構わない。
  • 仕掛けに引っかからないような奴らは自社に利益をもたらす存在ではないからどんだけ不満を抱こうが気にしない。
  • 引っかかったバカは自社の利益を増幅するための道具として搾取することを考えよう。

と。そういうことを嬉々として語っちゃうような、そういう会社なんですよね。

 

楽天は様々な企業を買収してますが、どれも良いクオリティとは言い難いです。楽天化すると改悪される、という漠然としたイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

例えば、koboの騒動の時もそうでしたね。誰の目からも明らかな粗悪品を大々的に宣伝して、引っかかったやつから搾取する。粗悪だろうがなんだろうか気にしないで、ともかくマスにアピールしてそれっぽく見せて、「確率」を上げることが大事、ってね。客に対する敬意が微塵も感じられない。

 

そういう敬意のなさは客に対してだけではなくて、従業員に対してもなんだろうな、と思わせる事例もあります。

楽天は一時期(今も?)新卒に楽天カード会員の勧誘をさせてました。「楽天に入ったゼミの同期から楽天カードの勧誘がきまくる」という話を新人からよく聞きました。

新社会人になった先輩が、ゼミのメーリングリストでカードの勧誘をする。ああ、悲しいですねえ。

そんな風にして新卒社員の友人関係が壊れようが知ったこっちゃないし、トータルで見たらその損害より新規楽天カード会員が増える方がメリットあるし、数字が全てという楽天イズムを教えるきっかけにもなるし、一石三鳥とでも思っているのでしょう。

従業員ですら、自社の利益を上げる道具としてみていない。三木谷社長の座右の銘は「人は財なり」だそうですが、この一件を鑑みると、"財"の定義が違うんだろうな、と感じざるをえません。

 

そして記憶に新しい低評価レビューの電話問題

これ、普通に考えれば、

 

客が低評価レビューした

→(客をひとまず尊重して)店に不手際があったと考える

→店に連絡して事実関係を調査する

→(敬意を持って)客に事実関係を報告するorお詫びをして継続利用してもらうようにリカバーする

 

と、そういう流れになるのが当たり前だと思うんですよ。それを店をすっ飛ばして客にいきなり行くなんて、客を敬う気持ちがカケラも、上辺上ですら全くないことをよく表してます。

「低評価レビュー率目標値」なんて数字を与えられると、誰もがもうその数字のことしか考えられなくなって、いきなりそれを直接的に解消するようなことをしちゃう。会社全体がそういう文化になっていることの表れですね。

 

わたしは、冒頭に述べたように「カモに敬意を払うべし」というのを信条にしていますので、この楽天のような企業体を嫌悪します*3。早く滅んでしまえば良いのにと思います。あのロゴを見るだけでテンションが下がります。

楽天のCMとか、adsenseの広告とか、ピザ屋の注文時に出てくる楽天決済とか、全部非表示にできたらいいのに。

*1:こういうの、高級品の商売では特に徹底されてますね。高級車の販売時に、原価やサービスコストを考えても大衆車の倍くらいの値段であるのに、10倍の値段で買うとかバカですね、とか、高級ホテルで、普通の部屋5つ分のスペースなのに、20倍の料金払うとかバカですね、とか、そういうことはおくびにも出さず、逆に「良質な空間を手に入れるための投資」「QOLの向上」といった"あなたの価値観をよくわかっています"というキーワードを推しますよね。売り手自身が真にそう思っているのが一番良いのだと思うです。

売る側の理屈、会社の利益構造みたいなもの、あなたの人とは違う価値観と我々のボロ儲けの構造、みたいな、そういうのを匂わすのはダメなんですね。

*2:ちなみに、メルマガの解除は昔に比べてかなりやりやすくなってます。いっぱい苦情が来るからでしょう。それでも大元である「登録」のUIの方は変えないってことは、つまりそういうことなんでしょうね

*3:ソフトバンクも同種の企業体であるという批評はよくありますね。でもソフトバンクの場合は、少なくとも孫さんは世の中を良くしたいという気持ちを本当に持っているか、持っているかのように見せる努力はしているように見えます。楽天はそれを全く見せもしないのがタチが悪い