キャズム。本を読むまでもなく、わりと一般的な用語になっており、ご存知の方も多いのではないかと思います。
via 情報システム用語事典:キャズム(きゃずむ) - ITmedia エンタープライズ
多くのひとが思い浮かべるのが上の図でしょう。
顧客層をイノベーター・アーリーアダプター・アーリーマジョリティ・レイトマジョリティ・ラガードに分けた時の比率と、アーリーアダプターに受け入れられてからアーリーマジョリティに受け入れられるまでにあるギャップのことだよね。キャズムって溝って意味で、そこを渡るのが大変っていう比喩なんだよね。
うん、たしかにこういう区分けって実体験からしても納得できるし、多数派にアピールするためにはマスに向けたマーケティングとか、戦略を転換する必要があるのもイメージつきやすいな。わかりやすいセグメントだね。
と、こんな感じでしょうか。わたしもそんな感じの認識でした。こういう認識だった人は、この本、読んだほうがいいです。そういう話じゃないんです。
キャズムを体現する本当の図
キャズムを体現しているのは上の4元図であると思っています。
縦軸は成熟度を表しています。横軸は2つのカテゴリを表していて、左半分が製品で、右半分が市場です。
ここで成熟度が下から上に洗練される様は一般的な「よくある話」であり、かなりイメージしやすいでしょう。
左半分の「製品」カテゴリにおける成熟は、イノベーターに技術をアピールしていたような状態、つまり"今までにない"ことはわかるけどなにに使えるのかはっきりしない(今でいうとブロックチェーン技術とかそういうのですかね)そういう状態から、特定分野におけるユースケースが見つかって、「製品」としてのパッケージングが成熟していく過程です。
ブロックチェーンで言うなら、独自の技術を持つベンダーが、例えばオークションとかコンテンツプロバイダーのようなオンライン事業者の目に止まって、彼らビジョナリー(アーリーアダプター)の厳しい実務要求に応えることによって、"個人間商取引向けパッケージ"が成熟していって、次々と同業他社に採用される事実上のデファクトスタンダード製品になる、というような状態がゴールですね。
右半分の「市場」でも同様で、またブロックチェーンで例えると、取引手数料の安さを武器に企業間電子商取引市場に参入した企業が、実利主義者(アーリーアダプター)の支持を得て徐々に市場における信頼を獲得し、ブランドを武器にして保守層(レイトマジョリティ)の利益を獲得する、市場に深く浸透した状態がゴールです。
そして、特定分野で圧倒的な機能性をもった「製品」が、巨大な「市場」に参入して地位を獲得するまでの、深い深い溝がキャズムであるわけです。
え?何いってんの?特定市場で成功した素晴らしい製品を足がかりに巨大市場で地盤を作るんでしょ?「個人間商取引を変えた革新的技術を基にした全く新しい商取引パッケージ」みたいな売り文句で。普通の連続的な変化じゃない?と思いました?
いやもう、二回目ですがそう思ってる人こそ、ほんと読んだほうがいいと思います。
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