この記事読みました。そしたら、Twitterで以下のリプライをいただきました。
@uxlayman ここで暖房大手コロナの最新機種を見てみましょう https://t.co/vvLmQdwFdV
— mongrelP@もんぐれ (@mongrelP) 2015, 11月 29
ふむふむ。見てやるか(偉そう) どうせ見るからにダサいやつなんだろ、という気持ちで開きました。
。。。あれ?
。。。ん?
思ったより良くない?ていうかこれはこれでもしかしてありなんじゃね?日本の家電デザイン、いつの間にか結構始まってたんじゃね?とちょっと思いました。
こんな風に、自分の直感に自信が持てなくなったときは、わたしはとりあえず無印を検索することにしています。
うん。いいわ。やっぱりいいわ。これに比べるとコロナのは全然ダメだな。謎の線とか意図のないツートンとか、無駄な要素が多すぎるわ。装飾を足して何を表現したいのかわからんわ。やっぱ日本の家電はダメだわ。と、このように判断した次第です。
美的感覚の多寡と選択基準
エンジニアの御多分にもれず、わたしは美的感覚に優れておりません(ちなみに、コロナの画像見て「こいつ何一瞬でもこんなのがいいとか言っちゃってんの。xxとzzがダメじゃん見て分かんないの」と、そういう感想を抱けた方は「美的感覚に優れている」んだと思います)
美的感覚に優れていないといっても、自分がいいと思う基準はあるんです。でも、それを明確にイメージできない。だから、ものを選ぶときは必然的に今あるものの中から比較検討して「一番いいと思うもの」を選ぶことになります。
ここで困るのは、自分の中の「欲しいもの」のイメージが曖昧で、見たものにそれが引っ張られてしまうことです。比較対象が(デザイン的に)全部平均以下だったり、(デザイン的に)過剰なものと過少なものが並んでいると、「これじゃダメだ」とならずに「この中でどれか理想のものがあるはずだ」とか「いや実はデザインよりスペックの方が大事だからいいんだ」とか話をすり替えて間違えた選択をしてしまうことが良くあります。
無印良品の価値
こんな時に役に立つのが無印です。
無印良品の商品は、その「もの」の機能性のみをできるだけシンプルに表現するという一貫したポリシーに基づいて製作されているように見えます。それでいて、デザインには妥協がない。だから「普通」の基準にすごく合致しやすい。
これを基準にして、欲しいものはこれにもっと装飾性を足したものだな、とか、黒系の部屋に置くからこんな感じの色違いだな、とか、予算がないからここまでのデザイン性はいらないな、といったイメージを明確にできます。
さらに素晴らしいことに、無印には家電だけではなく、家具や衣類や食器やキッチン用具や文房具や家(!)やその他生活に必要なあらゆるものがあって、その全てが一貫したポリシーで形作られていることです。しかも、全国津々浦々どこでも、近くの駅ビルなりショッピングモールなりですぐにその実物が手に取れる。デザインを判断する上で実物を見るって、すごく大事ですよね。
もちろんネットでも全商品が検索できて画像が見れることも素晴らしい。
わたしはなにか欲しいものがある時は、IKEAに行く時もドンキに行く時も100均に行く時も、ひとまず無印を見てから行きます。これはとてもオススメです。例えば食器だとか調理器具だとかフライパンだとか収納家具だとか、どれを取っても見比べると全然違うのです。
無印のものを見ていると、美的感覚が磨かれてるのを肌で感じることができます。ここがちょっと違うだけでこんなに印象が異なるんだ、とか、この製品は本来こういう形であるべきだったんだな、とか。
わたしは普通の郊外の家庭出身で、普通の木造住宅で、その辺のホームセンターで家具を買ってきて、スーパーで食器と調理器具を買ってくるような家庭で、要するに全くデザイン教育されていない成長過程だったのですが、それでも今家電製品のデザインがどうのこうのなどと偉そうな記事を書けるのは全て無印のおかげといっても過言ではありません。全く感謝です。
元記事にある『「Apple」をはじめとする、洗練された製品に触れながら育った世代のデザイン感覚』という部分の「洗練された製品」には間違いなく無印良品製品が含まれていると思いますし、これだけ多ジャンルの商品を一貫したポリシーで生産し、日本全国あらゆるところに届けていることに敬意を感じます。正直、国民栄誉賞の企業版的なものをもらってもいい気もしますw
補足
ちなみに、PC製品に限っていえばAppleが無印的な立ち位置ですね。デザインを重視したノートPCが出ました、ってなったらとりあえずMacBookと比較するし。そういえばAppleと無印ってすごい相性良さそうですけどどうなんでしょ。
スティーブジョブズとアイクラーホームズの関係ってのも言ってることと近いですね。
アイクラーはすごい。彼の家はおしゃれで安く、よくできている。こぎれいなデザインとシンプルなセンスを低所得の人々にもたらした。……」「すばらしいデザインとシンプルな機能を高価でない製品で実現できたらいいなと思ってきた。それこそ、アップルがスタートしたときのビジョンだ。……」
この辺、美術教育のカギは、子供に無駄に高くなくても「ポリシーのある良いもの」ものを触れさせる事なんではないかと思います。
家電だと、ちょっと前まではSONYがこの立ち位置でしたね。高いけどデザインはしっかりしているからいったんそれを「基準」に考えようってなってましたもんね。
車はいまだにその辺はっきりしないけど、国産だと最近マツダがその立ち位置を狙いにいってるように見えます。デザイン以外だとトヨタとかが基準になってしまうでしょうけど。