「もう恋なんてしない」は1992年に発表された槇原敬之5枚目のシングルです。
この歌詞の意味、前々から気になってたんですが、突然ちゃんと考えてみようと思い立ちました。みなさまもおつきあいくださいませ。
もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対
この二重否定の句は落ち着いて考えれば簡単ですね 。「恋しない」なんて言わない、なので、めちゃめちゃ恋するぜ!ってことです。
「恋する」の反対(しない)の反対(言わない)だから、そう考えてもやっぱり肯定ですね。
ともかく、この長いフレーズはめちゃめちゃ恋するぜ!って肯定の意味です。
もし君に一つだけ強がりを言えるのなら
1番のサビの部分、例の長いフレーズの前に、「もし君に一つだけ強がりを言えるのなら」があります。つまり、例のフレーズは「強がり」なんです。
めちゃめちゃ恋するぜ!が強がりだから、その逆。つまり、恋したくない!が本心ということになります。作中のセリフでいうと、「もう恋なんてしない」が本心。
1番の歌詞
歌詞を全般的にみると、同棲中だった恋人に理由もわからず振られて未練たらたらの男(?)の話だとわかります。
上記の強がりの話とあわせると、振られて本心ではもう恋したくないくらい悲しいけど、見栄張って「このあとめちゃめちゃ恋するぞ」って強がってやる、ってのが1番の歌詞の流れでしょう。
悲しくなんか、ないんだからね!このあとめちゃめちゃ恋してすぐ新しい恋人作っちゃうからねバーカバーカ!的な。ツンデレですね。
2番の歌詞
問題は2番の歌詞です。
中盤まではあいかわらず悲しみにくれる男(?)の話なのですが、突然の以下のセリフ。
2人で出せなかった答えは今度出会える君の知らない誰かと見つけてみせるから
ファッ?!
なにがおこったの??急にどした?
そして続けざまにこれ
本当に本当に君が大好きだったから もう恋なんて(以下略)
最初のフレーズ解析結果を当てはめると、「本当に君が大好きだったから、めちゃめちゃ恋するぜ(他人と)」となってしまう。
ファッ?!どしたんだよ。
一般的な読解では、「過去を嘆くのをやめ、起こったことを受け入れて未来に向かって歩き始めた」と取れなくもない。
けど、それに至った心の移り変わりがあまり表現されてないように見える。直前でも手紙がまだくるから迷う、とか言ってるし。その前ではぬけがらに囲まれて幸せとか言ってるし(つまり歯ブラシも服も捨てれなかったんだな?*1)
まだ全然「君」に執着してるではないか。
ということで、結局真相はよくわかりませんが、ともかく主人公がポジティブになる話ではあるようです。名曲ですね。かしこ
参考:他者の意見
1番の内向きな戸惑い悲しみに対し、区切り気づきを経て前向きになったと読みとっている。
「もの」を通じて相手への感謝や幸せな気持ちを思い出してポジティブになれたと読みとっている。
うーん確かに2番は「時間が解決」してるようにも見えるな。ただ、同時に未練たらたらのまま時が止まってる(というか悪化してる)ようにも見えるのだが。
*1:別解としては歯ブラシも服も捨てれた説もある。捨てれなかったのは楽しい思い出。物を捨てて思い出に向き合うフェーズになった的な