書籍「Google AdSense 成功の法則 57」の内容がひどかったので啓蒙のために批判しようと思います。批判に見せかけた宣伝とかではなく、ただの批判です。
おことわり
この本を「ひどい」と感じたのはわたしがこの本のターゲットとずれている部分が大きいのかと思います。わたしはブログを始めて、アドセンスを始めてからこの本を読みました。
ブログすらやってないけど「なんかブログでお小遣い稼ぎできるらしいね」と思ってる人とか、「ブログやってるけどアドセンスやってないのでまとまった情報が欲しい」という人にはある程度の効用があるのかもしれません。
このあたりを考慮された上でお読みください。まあ、それだけじゃないんだけどw
終始ブレまくる立ち位置
著者は、ブログには「専門情報型」と「雑記ブログ型」の2つのスタイルがあると述べている(想像つくだろうけど、お役立ち情報みたいなやつと日記みたいなやつ)
そして、初心者には専門情報型が良いだろうと勧めている。ここで、著者の専門情報型ブログが4つ紹介される。
どれも専門情報型ブログだ。更新は止まっており、xperia以外は100記事もない。ここまではまあいい。
で、このあとの“絶対法則”が「最初の1ヶ月は毎日記事を書くことだけに注力しよう」「歯を食いしばってでも100記事までがんばる」
はあ?
自分のブログは100記事もないのに??
この本は終始一貫してこんな感じ。「専門情報型」「雑記ブログ型」の話だけでなく、金儲けのためにやるvs自己実現のついでに金を稼ぐ、などその他の対立軸に対しても、ともかく立ち位置がブレまくる。
最初に専門情報型がおすすめといってるのに、突然自分を出そうとか、ネタが切れたら新しい体験をしてみようとか、そういう“絶対法則”がぽんぽん出てくる。
しかもなんの前触れも前振りもなく立ち位置を変えるので、節がかわると前節の内容と全く関係性がなかったり逆のことを言ったりする。ブログのことを知らなくて初めてこの本をみる人は混乱すること請け合いだ。
データ的裏付けが全くない
「チャプター3 効果的なGoogle AdSenseの配置方法」では、広告の配置方法のおすすめが述べられるのだが、そこに全くデータ的裏付けがない。○○は××な可能性が高そうなので検討してみるのも良いでしょう、○○は鉄板なのでやるのが良いでしょう、みんなやってるから多分これがいいんじゃない?とかそんなのばっかり。「アドセンス攻略法」とかで検索すれば出てくるブログ記事と同じレベル。
せめて(同じような携帯関連ブログである)Xperia非公式マニュアルとIS03非公式マニュアルで広告の配置を変えてみたらこういう違いが出ました、とか言えよ。
「チャプター4 レポートの分析による広告とコンテンツの最適化」については
Google Adsenseの管理画面を公開するのは規約違反に該当するので、数字が公表されている部分はモザイク処理をしてあります。
でお察し。本として出版してるからGoogleと特例を交わして重要な情報を公開できるようにしてるのかな、と淡い期待をしてましたが、そういう特別扱いは全くなく、一介のブロガーと全く同じ立場で書かれた戯言です。
そもそも、大半は操作とか用語の説明とか、最近は○○な傾向が見られるようです、とかの情報ばかりで、最適化につながる情報が全然ありません。
こんなのみるくらいなら↓で実際に試してみるほうが全然いい。
最終章「月額報酬1万円の壁」
「チャプター6 月額報酬1万円の壁を越えるために」という章があるが、あのー、そもそも好きなことを続けるのが大事とか言ってませんでしたっけ急に1章まるまる金の話ですか、と面食らうこと請け合い。安定のブレ芸。
それはともかくとして、1クリックの平均単価を上げるとか、クリック率を上げるとか、PV増やすとか、そういう風に課題を明確化しよう、とドヤリング提言してくるが、「チャプター4 レポートの分析による広告とコンテンツの最適化」で数字が出てないので、読み手はなにが課題なのか知るすべがない。
チャプター4で平均値や目安的な数字が提示されていれば、それより「少ない」ところは伸ばす/改善する余地があるところ(課題)として認識できるだろう。Analyticsをつかってそれを調べる方法まで書いてあればだいぶわかりやすくなると思われる。が、それはない。
ちなみにこの後の節、自分の魅力を再確認しよう→ブログをいっぱい作ってみよう、とかいうブレ芸満載な節が続きますもういいよそれ。
そして最後の極めつけは絶対法則57(最後の節)内の最後の項のタイトル「あなた独自の成功の法則を!」 中身は「ここに書いてあることは基本なので自分でアレンジするのが大事だよ」的な内容。
はああああああ?自分の状況が一番大切なのは知ってましたけど?そこに57の成功法則とかぶっ込んでくるからわざわざ買ったんだろうがよ。ふざけてんのかマジ
なお、すっとばした「チャプター5 Google AdSenseでやってはいけないこと」は以下に書いてある内容を書き直しただけなのでわざわざ読む必要はないです。ていうかこの本の半分くらいはAdsenseとAnalyticsのヘルプを違う書き方で書き直しただけです。
AdSense プログラム ポリシー - AdSense ヘルプ
まとめ
ここまで書いてきましたが、こうなってしまった要因って実はほとんど見えてるんですよね。
この人は、文面では「毎日コツコツ自分の好きなことを書いてお小遣い稼ぎ」を推奨してるけど、自分がやってることは役立つ情報ブログをパパっと作り上げてそういうのを何個も作って生活しているプロブロガー。
その矛盾を消化しきれないで本にしてるからこうなる。
数字を出さないのだって本質は見えてる。
この人、1時間1万円くらいでブログアクセスアップのコンサルしてるらしい。複数のブログを運営して得た具体的な数字やその差異とかはコンサルする上でのキモになるのは明らかだ。Googleの規約もあるんだろうが、そもそも1500円ぽっちでキモになるその数字を教えてやるつもりなんてさらさらないんだろう*1。
この本は物書きの仕事ではない。
1本の筋が通っていなく、ブレまくり、肝心なところの数値的裏付けもない。どこにでもあるようなブログから57記事引っ張ってきてカテゴライズしただけの内容だ*2。さすがブロガー。
ただで配ってもいいようなセミナーの前振り資料みたいのをわざわざ金だして買うという、いい年こいて恥ずかしいことをしてしまったと思う。もうこの手のやつを買うのはやめよう*3。
おまけ
ちなみにですね、これ、Kindle版を買ってKindle paperwhiteで読んだんですが、なんか遅いんです。。。
最初、Kindle paperwhiteが遅いのかと思った*4のですが、遅いのはこの本だけだし、コミックより遅い。なんでだろうと思ったら、原因わかりました。
わかりづらいかもしれません。これ、画像なんですよ。テキストを装飾してるんじゃなくて、1ページが全部画像なんです。だから、電子書籍なのに検索もできませんw kindleが持ってる、指定箇所を選択してtweetするとかって機能も使えませんw
コミックよりも遅いし、自炊してなんも考えずにAZW3にした本より遅いので、まともに最適化できてないんでしょう。
出版社入ってるんだからちゃんとしろよ。