UXエンジニアになりたい人のブログ

エッチだってしたのにふざけんなよ!

ドラえもんの道具で学ぶ優れたUX表現ベスト3

大量生産の実用品という視点で書きます。反論別案歓迎。ぶっちゃけ1位のやつの話をしたいので2,3位は適当かもw

 

3位:コピーロボット 

グルマンディーズ 藤子・F・不二雄キャラクターズキャラピン(コピーロボット) DR-12E

グルマンディーズ 藤子・F・不二雄キャラクターズキャラピン(コピーロボット) DR-12E

 

鼻が赤い人形。鼻を押すと押した人の姿になり、もう一度押すと人形に戻る。

なんというシンプルさ。できることが一つしかないならボタンを一つだけ用意すれば良いのだ。そうすれば、初めて使う人もどのボタンを押せばいいのか、迷うことがない。
シンプルな機能をシンプルに表現したお手本。

2位:ガリバートンネル

ドラえもんひみつ道具手品 ガリバートンネル DD-08

ドラえもんひみつ道具手品 ガリバートンネル DD-08

 

大きい入り口から入ると小さく、小さい入口から入ると大きくなれるトンネル。

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物を大きくしたり小さくするひみつ道具はビッグライト/スモールライトのほうが有名である。それに比べて、ガリバートンネルはかさばるし、動く物しか小さくできない、という制約がある。

だが、よいところも多い。
まず重要なのは、間違えないこと。ビッグライト/スモールライトが同じ懐中電灯型なので、大きくする/小さくするを非常に間違いやすいのに対して、ガリバートンネルは物理的に間違えにくい。大きい状態では小さい口に入れないし、小さい状態で大きい口は大きすぎる。
そして、効果と形がマッチしている。初めて使う人でも「何が起こるか」「どうすればもとに戻れるか」が直感的に分かって、恐れが少ない。
間違いを未然に防ぎ、利用への心理的障壁を無くす、よいデザインであると言えよう。
 

1位:きせかえカメラ 

これ!これはですね、ダントツの1位です!

着たい服のデザインをカメラに入れて、対象者とデザインを合わせてシャッターを切ると、対象者の服が着替えられる。

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「自由に着替えができる技術」が発明されたとき、人々はなにを望むか。服を着替えてほしい、じゃないよね?本質的には、その人にぴったりの服を着たい/着せたい、のはずなんだ。
そのためには、どんな出来上がりになるかを見ながら、微調整できる仕組み、機能的に言うと、プレビューしてそのまま確定、的機能がとても重要。これがうまいこと、わかりやすいようにできないと、この世紀の発明は台無しになってしまうかもしれない。
 
ドラえもんの世界のデザイナーは、これを「カメラ」をメタファーにすることで全部解決してる。
カメラをみて、服の狙いを定めて、シャッターを切る。すると、写真がその一瞬を切り取って固定化するのと同じように、その服が対象者に固定化される。まさにメタファーである。完璧すぎる。美しい。
そしてメタファーがすばらしいだけでなく、一度見ただけで誰でもわかるわかりやすさを兼ね備えている。初めて使う人でも、概ね迷わず操作できるだろう。本当に完璧である!
 
 
さて。今日はなぜいきなりドラえもんの話をしたのか。
ドラえもんの道具の効果は、かなり現実離れしている。他方、ドラえもんの読者/視聴者は小学生くらいの子供である。小学生に、今世の中に全くない素晴らしい技術を説明するのはわりと難しい。そこでドラえもん作内では子供たちに「現実離れしている便利な道具」を現実世界のものとして理解させるために、メタファー(比喩)をとても効果的に使っている。
  • ヘリコプターみたいに空を飛べそうな形の、竹とんぼくらいのプロペラ。
  • どこにでもありそうな形の、どこにでも行けるドア。
  • 服によくついているような、何でも入るポケット
  • etc,etc...
いま、ぼくが知っているなにかの、少しすごいバージョン。このメタファーがあるから、子供たちは、今ある世界の延長としてドラえもんの道具を捉えることができる。
 
もっと単純にいうと、子供の頃、ドラえもんを見てて、なにこの道具?どういう意味?なにが起こってるの?って思ったこと、ほとんどないでしょ?(Yロウを除く)
これはなかなかすごい。
同じ現実離れした奇妙な世界を対象としていても、ジョジョではえ?どうなってんのこれ?ってことがあるのとは対照的である。まあ、ジョジョも大好きだけどね!*1
 
 
閑話休題。わたしたちソフトウェアエンジニアが作成するプロダクトも、かなり現実離れすることがあるのではないだろうか。特に「世界初の〇〇」「いままで誰も考えつかなかった画期的な〇〇」なんてのはかなり概念的にも複雑なものになるであろう。
重要なことは、我々には素晴らしい現実離れした世界を創りだすと同時に、その新しい世界と今の世界をつなぎあわせる道筋を提供する責任があるということだ。
 
もっと簡単にいうと、どんなにすごい効果があろうとも、「なにが起こるかイメージできない」「なにかこわいことが起こりそう」というプロダクトは成功しにくいということだ。今回のベスト3では「初めての人にとっても」という観点を3つともで書いたのはそのためだ。
もちろん、筆舌を尽くしてその効果を分かってもらうのもよいだろう。「お試しキャンペーン」をするのもよいだろう。しかし、ドラえもんの道具が小学生になんの疑問もなく受け入れられているように、未来の世界のデザイナーが考え抜いたように、デザインで解決できることはデザインで無意識的に解決させるのがベターなのではないだろうか。
 
そのような観点から、わたしはソフトウェアエンジニア/UXエンジニアにはドラえもんの道具から学ぶべきことが多くあると考えるのであります。
ちなみに、もちろんワースト3もありますよ。それはまた今度^^

 

<小声>今日結構衝撃だったのはドラえもんの道具が2014年のAmazonで結構買えるということ</小声> 

*1:というかジョジョのわかりにくさは、「奇妙な世界に巻き込まれてる」感の演出だろうとは思うけど